日本企業が関与したM&A件数は2024年に過去最多の4,700件を記録し、2025年上半期も前年同期比+12%で推移しています。
背景には「後継者難による事業承継需要」と「非連続成長を目指す買手の積極攻勢」の両面があります。特に製造業・ITサービス業で異業種買収が増加している点が注目です。
- 国内M&A件数の推移(経営権移転を伴う案件)
- 2023年:3,600件
- 2024年:4,700件(+30%)
- 2025年上半期:2,450件
出典:LSEGリーグテーブル、各社IR資料
M&A仲介・アドバイザリー企業を5カテゴリで整理
| カテゴリ | 代表的企業 | 主な案件規模 | 強み |
|---|---|---|---|
| 独立系・上場大手 | 日本M&Aセンター、M&Aキャピタルパートナーズ、ストライク、M&A総合研究所 ほか | 譲渡価格3億〜50億円 | 豊富な案件ストック、全国ネットワーク、成功報酬主体 |
| メガバンク・証券系FA | 野村證券、三菱UFJモルガン・スタンレー、みずほ証券 ほか | 50億円超〜大型クロスボーダー | 資金調達・ストラクチャリング一体提案 |
| Big4・コンサル系 | デロイトトーマツFAS、KPMG FAS、PwCアドバイザリー、EYストラテジー&コンサルティング、山田コンサル | 財務DD・PMI重視案件 | グローバルDD体制、税務・IT統合支援 |
| 士業・地域密着仲介 | コーポレート・アドバイザーズ、かえでFA ほか | 1億〜10億円 | 税務・相続一体支援、ローカルネットワーク |
| オンラインプラットフォーム | バトンズ、M&Aクラウド、TRANBI、M&Aサクシード | 〜5億円 | 着手金ゼロ、月額低コスト、短期マッチング |
独立系・上場大手M&A仲介会社【比較表】
| 企業名 | 上場市場 | 2024年成約件数 / 累積成約 | 料金体系 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 日本M&Aセンター | 東証プライム | 年間1,200件超(累計8,000件以上) | 完全成功報酬+中間金 | 半数以上が事業承継案件。業種横断ネットワーク |
| M&Aキャピタルパートナーズ | 東証プライム | 年間490件、平均譲渡価格10.9億円(ma-cp.com) | 着手金無料・成功報酬比例 | 大型案件に強い。2023・2024国内案件数No.1(LSEG) |
| ストライク | 東証プライム | 累計2,800件、2024年実績340件(strike.co.jp) | 完全成功報酬 | “M&A Online”メディアで情報発信力が高い |
| M&A総合研究所 | 東証グロース | 問合せ15,000件/年(masouken.com) | 着手金ゼロ・成果報酬1区分 | AIマッチングにより平均成約期間6.7ヶ月 |
| fundbook | 非上場 | 年間成約58件(1件当売上8,724万円)(fundbook.co.jp/) | 着手金・中間金ゼロ | 独自データベース、若手アドバイザー多数 |
| 名南M&A | 名証メイン | 中部圏の中小承継に強み | カスタム | 税理士法人名南経由案件が豊富 |
独立系上場大手を選ぶメリット
- 案件母数の多さ:買い手候補が多いため価格最大化のチャンスが広がる。
- デューデリ・PMI支援がワンストップ:大手監査法人・銀行とアライアンス。
メガバンク・証券/投資銀行系FA
大規模M&Aでは資金調達・社債発行・デリバティブヘッジなど高度なストラクチャリングが必須。メガバンク・証券系はグローバルネットワークと金融商品の組み合わせでバリューを発揮します。
- 野村ホールディングス:クロスボーダーM&A件数国内1位(2024年)
- 三菱UFJモルガン・スタンレー:米投資銀行の知見+邦銀与信で総合力
- みずほ証券:統合型IB「One MIZUHO」でMBO案件を多数支援
- SMBC日興証券/SMBCグループ:LBOファイナンスと併走
料金体系の目安(FA契約)
- リテイナーフィー:月次500万〜1,000万円
- 成功報酬:取引価額の1〜3%
会計ファーム・コンサルティング系(Big4ほか)
| ファーム | 強み | 直近実績(2024FY) |
|---|---|---|
| デロイト トーマツFA | 財務DD1,000件超、PMI支援200件 | 製造・ヘルスケア案件比率45% |
| KPMG FAS | 税務・IT統合、サイバーDD | クロスボーダーDD件数国内首位 |
| PwCアドバイザリー | ESGデューデリ、市場参入戦略 | アジア太平洋案件急増+30% |
| EYストラテジー&コンサル | ストラテジー×M&A統合チーム | 製薬・消費財DX PMIに強み |
| 山田コンサルティング | 中堅企業の再生型M&A | 地域金融機関との共同案件多数 |
士業・地域密着型仲介
税理士・会計士・行政書士が母体のため「税務、相続、許認可」を絡めた小規模承継案件に強いのが特徴です。
- コーポレート・アドバイザーズM&A(東京):公認会計士が担当、最短3ヶ月成約。
- かえでファイナンシャルアドバイザリー(大阪):製造業の地場承継に特化。
- たすきコンサルティング(福岡):ローカル銀行と提携、九州圏1億円以下案件。
利用時のTips
- 譲渡オーナーの相続・退職金設計とセットで相談可能。
- 着手金30万〜100万円程度は必要なケースが多い。
オンラインM&Aプラットフォーム
| サービス | 交渉可能案件数 | 利用料金 (売り手/買い手) | 特徴 |
|---|---|---|---|
| MANDA | 約20,000件 | 売り手:完全無料 買い手:完全無料 | 様々なM&A会社の案件を自動収集 M&A案件の検索エンジン |
| バトンズ | 約10,000件 | 売り手:0円~成約価格の5.5%(最低200万円) 買い手:成約価格の2.2%(最低38.5万円) | M&Aセンターグループ |
| M&Aクラウド | 約2,000件 | 売り手:基本無料 買い手:成約価格の10%~1%(最低100万円)+掲載費70万円 | 買手課金モデル、事業提携・資本提携も可 |
| TRANBI | 約3,000件 | 売り手:基本無料 買い手:月額4,378円~21,780円 | 地方企業の小規模譲渡が増加 |
| M&Aサクシード | 約4,000件 | 売り手:成約価格の5%(最低1,000万円) 買い手:成約価格の2%(最低200万円) | ビズリーチを提供しているVisionalグループが運営 |
オンラインならではの留意点
- 匿名交渉が長期化する:実名開示のタイミングを決めておく。
- DDコストは別途:FA・士業を別に依頼する必要がある。
仲介会社の料金体系と報酬モデル
主要報酬形態
- 完全成功報酬型:着手金ゼロ、成果報酬のみ(例:M&A総合研究所、fundbook)
- 着手金+成功報酬型:初期30万〜200万円+成功報酬(ほぼ業界標準)
- 月額リテイナー+成功報酬型:金融機関系や大型案件に多い
成功報酬の計算式(レーマン方式例)
- 5億円以下:5%
- 5〜10億円:4%
- 10〜50億円:3%
- 50〜100億円:2%
- 100億円超:1%
ポイント:ミニマム・フィー(最低報酬)300万円〜1,000万円を設定する仲介会社が多い。
失敗しないM&A仲介会社の選び方5ステップ
- 案件規模と業界適合性を確認:同業界で過去3件以上成約しているか。
- 担当者(リードアドバイザー)の実績をヒアリング:直近2年の成約数、平均成約期間。
- 報酬見積とKPIを明確化:中間報酬発生日・成功条件を契約書に明記。
- デューデリジェンス体制を確認:財務DD・法務DD・ITDDの内製/外注可否。
- 買手ネットワークの質を確認:リスト例示、買手企業属性。
よくある質問(FAQ)
Q1. 着手金ゼロと着手金あり、どちらが得か?
A. 着手金ゼロは初期負担が少ない一方、成功報酬率が高めに設定されがち。成約見込みが高い場合は着手金ありで成果報酬率が低いプランの方がトータルコストを抑えられるケースもある。
Q2. オンラインプラットフォームと仲介会社を併用しても良い?
A. 独占契約条項に注意。MANDAなど一部サービスは非独占OKだが、仲介会社は専任契約が一般的。
Q3. M&A仲介会社とFAの違いは?
A. 仲介会社は売手・買手双方の仲立ちを行い中立を標榜するが、FA(ファイナンシャル・アドバイザー)はどちらか一方の利害を代表しアドバイスする。利益相反リスクの観点で大型案件はFAを用いるケースが多い。
まとめ
- 独立系大手の網羅力・金融系FAのストラクチャリング・Big4のDD力・地域密着士業の細やかさ・オンラインのスピードと、各カテゴリの強みは明確。
- 2024〜2025年は後継者問題と異業種買収ニーズが交錯し、市場は過去最大規模へ。
- 仲介会社選定では**「担当者実績」「費用モデル」「買手ネットワーク」**の3点を重点比較し、自社に最適なスキームを組むことが成功の鍵。


