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DDグループのMBOとポラリスのTOBを徹底解説

M&Aニュース

はじめに

株式会社DDグループは、プライベート・エクイティ・ファンドであるポラリス・キャピタル・グループが設立したPCGVI‑1株式会社を通じて、**マネジメント・バイアウト(MBO)と公開買付け(TOB)**を実施し、株式の非公開化を行うことを2025年7月14日に発表しました。

このMBOスキームにより、DDグループ株式は上場廃止となる見通しで、同時に代表取締役社長の松村厚久氏も一部株式を保有し続け、経営に関与します。


案件概要:TOB条件とスケジュール

公開買付価格とプレミアム率

  • TOB価格は1株あたり1,700円で、TOB公表前営業日の終値(約1,443~1,475円)に対し、15〜18%程度のプレミアムが付与されています。

買付予定株数と成立条件

  • 買付予定数は16,628,186株で、その**下限は10,813,295株(約59.69%所有割合分)**と設定されており、マジョリティ・オブ・マイノリティの条件が付帯しています。
  • 上限は設定されておらず、応募が下限に達しない場合はTOB不成立になります。

公開買付期間と決済日

  • 2025年7月15日~8月27日の約30営業日間がTOB実施期間。
  • 決済開始予定日は9月3日とされています。

公開買付代理人

  • SMBC日興証券が公開買付代理人を務め、復代理人は現時点で指定されていません。

MBOの背景と目的:非公開化による経営変革

MBOと非公開化の狙い

  • DDグループは飲食・アミューズメント事業やホテル・不動産事業を展開しており、人件費・食材費・光熱費の高騰と少子高齢化による市場環境の変化に直面しています。
  • 株式市場の短期的な評価に左右されない経営体制構築を目的として、非公開化の方針を決定しています。

経営改革と成長施策

  • DX(デジタルトランスフォーメーション)推進
  • 新規業態開発や出店の加速
  • 海外再進出の再挑戦
  • マーケティング戦略強化による顧客基盤拡大

これらの施策を中長期的に推進するため、柔軟で意思決定速度の早い非公開経営へ移行する狙いです。


株主構成とステークホルダー対応

松村社長の関与と株式保有割合

  • 松村厚久社長は約27.59%を保有しており、その大部分をTOBに応募予定です。また、**松村屋(第2位株主、所有割合約8.21%)**についてはTOB不参加で、後に譲渡される合意をしています。
  • 松村氏は公開買付主体であるPCGVI‑1に約5%を再出資して、引き続き経営に関与する見通しです。

少数株主保護の仕組み

  • 独立特別委員会の設置:利益相反を回避するため、独立社外取締役等で構成される特別委員会がTOB条件の妥当性を検討。
  • 複数回の価格交渉:当初提示価格1,500円から5回の交渉を経て1,700円に引き上げられた経緯があり、公正性が担保されています。
  • 第三者評価機関の起用:PwCが算定、森・濱田松本法律事務所がリーガルとして助言する体制を整備。

バリュエーション分析:TOB価格の妥当性

第三者評価機関によるバリュエーション評価では、以下の手法が用いられ、TOB価格1,700円の妥当性が検証されています。

DCF法(ディスカウント・キャッシュ・フロー法)

  • 2026~2028年期のフリーキャッシュフローを割引現在価値化した結果、DCFレンジは1,687~2,370円
  • 1,700円はレンジ下限に近く、慎重な評価と見られます。

市場株価比較方式

  • 過去1~6ヶ月の終値平均から算出されたレンジは1,323~1,469円
  • TOB価格は市場平均に対して15~28%のプレミアム付きであり、類似MBO案件(中央値約45%プレミアム)より控えめな水準です。

EBITDAマルチプル方式

  • EBITDA予測39.24億円に対して、6~8倍相当(EVベース)で株式価値を補強。市場のバリュエーションと整合性があります。

総評

  • TOB意図価格1,700円は、DCF法から下限付近、かつ市場株価比較基準よりプレミアムを付けた中庸な水準
  • シナジー効果はほとんど価格に織り込まれておらず、将来の価値向上は非公開化後にポラリスおよび経営陣が享受する構造です。

投資家視点:対応と検討ポイント

株主の選択肢

  1. 市場で売却:公開買付価格に近い市場価格で即時売却可能。ただしMBO応募価格と完全一致しない可能性あり。
  2. TOBに応募:SMBC日興証券など指定証券会社を通じて1,700円で株式売却。応募総数が下限超えた場合は抽選となる可能性あり。

投資家への影響

  • TOB公表後には市場価格が買付価格近辺まで上昇する傾向があり、応募せず市場で売却する選択も利益確定の方法として有効です。
  • 上場廃止後には流動性の低下と市場評価機会の喪失も考慮すべきリスク要因です。

業界動向とM&A環境:DDグループの戦略的意義

外食・アミューズメント業界のM&A潮流

  • 人材確保やコスト上昇、競争激化を背景に、飲食業界ではM&A事業承継が活発化
  • デジタル化や効率改善、新業態開発など、短期成果より中長期的成長に焦点を当てる動きが強まっています。(SFS)

DDグループの戦略的位置づけ

  • DDグループは、代表取締役による経営主導体制とPEファンドの資源・知見の融合を果たすMBOスキームであり、業界内で典型的なケースとなり得ます。
  • 今後の成長戦略次第では、他外食企業やホテル事業におけるM&A・非公開化案件のベンチマークとなる可能性があります

結論と今後の展望

  • DDグループのMBOは、市場評価から解放された柔軟な経営体制を確立するための戦略的非公開化
  • TOB価格は合理性・公正性を担保した適正水準に設定され、市場株価に対するプレミアムも提供。
  • 今後注目すべきは、株主応募数、株価動向、経営改革の具体化、DX推進、新業態・海外展開等の成果です。
  • 成功すれば、本案件は外食・ホテル業界におけるMBO成功モデルとして注目される可能性が高く、他社のM&A戦略にも影響を与えるでしょう。
この記事を書いた人
MANDA編集部 森田

なにかと課題の多いM&A業界を民主化し、日本の未来を大きく左右する「事業承継問題」を解決することが、私たちのミッションです。M&Aをこれから始める方から、M&Aのプロフェッショナルの方まで、M&A周りを判りやすく丁寧に解説します。

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