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ラクスルがMBOで株式非公開化へ|TOB価格1710円で上場廃止を目指す背景と戦略

M&Aニュース

ラクスル株式会社(証券コード4384)は、2025年12月11日に 経営陣主導のMBO(経営陣による買収 を発表し、株式の 非公開化(上場廃止) を目指す方針を示しました。今年に入ってから市場環境が変化する中で、ラクスルは短期的な株価や四半期ごとの業績に左右されない経営体制を構築するため、上場を維持するよりも非公開化を選択したと説明しています。

このMBOは、世界有数の金融機関であるゴールドマン・サックスの関連ファンド(R1株式会社)を主体として、同社株を 1株あたり1710円 で公開買付け(TOB)するという内容で進められています。この買付価格には公表前の市場終値に対して30%以上のプレミアムが付与されており、株主へのインセンティブが意識された設定となっています。ラクスルはこの方針に賛同し、株主に対してTOB応募を推奨しています。MBOとTOBが成立すれば、ラクスルは東証プライム市場から上場廃止となる予定です。

本稿では、ラクスルMBOの最新内容を全体像として整理し、その背景、株主への影響、経営戦略の意図、非公開化の意味とリスク、そして今後の見通しについて詳述します。事実ベースで解説しますので、投資・経営・M&Aに関心のある読者にも役立つ内容となっています。


ラクスルとはどのような企業か

ラクスルは2009年に設立され、印刷・広告・物流関連のプラットフォームサービスを中心に事業を展開してきた企業です。設立当初はネット印刷の販売からスタートし、その後広告プラットフォームや物流サービスの受発注を含むBtoBプラットフォームとして成長しました。2018年に東京証券取引所マザーズ市場に上場し、その後東証1部、さらに2022年には東証プライム市場へ市場区分変更を果たしています。これまでに複数の子会社化や事業買収を通じた事業領域の拡大も進めています。


MBOとは何か

MBOは Management Buyout(マネジメント・バイアウト) の略称で、企業の経営陣が外部投資家と連携し、自社株式を既存株主から買い取ることで経営権を確保し、企業を非公開化する手法です。一般的には、経営陣自身が主体となって企業の価値を中長期的に高めたいと考える際に選択されます。MBOの実行にあたっては、公開買付け(TOB)を通じて株式を大量に取得し、全株式の過半数を確保することが多く、その後の上場廃止(非公開化)につながります。

MBOのメリットは、短期的な株価変動や株主からの厳しい業績プレッシャーに左右されずに、中長期的な戦略に基づく投資や事業改革が可能になる点にあります。一方で、外部投資家との資本構成調整や、買収資金調達のリスク、非公開後の資金調達戦略など、実行には多くの検討が必要になります。


ラクスルMBOの取引条件

2025年12月11日に発表されたラクスルMBOにおける主な取引条件は次の通りです。

  • 公開買付価格:普通株式1株につき1710円(公表前営業日終値に対して高いプレミアム)
  • 買付期間:2025年12月12日から2026年2月4日までの33営業日
  • 公開買付主体:ゴールドマン・サックス関連のR1株式会社
  • 買付予定株数:61,062,650株(下限39,699,100株、上限なし)
  • TOB成立後の決済開始日:2026年2月12日
  • 公開買付代理人:野村証券
  • 上場廃止予定:TOB成立後、所定の手続きを経て上場廃止へ

また、TOB終了後、創業者である松本恭攝会長と永見世央社長は、それぞれの資産管理会社を通じてファンドの持株会社に再投資し、最終的な議決権構成はゴールドマン・サックスが50%、松本氏の資産管理会社が23.68%、永見氏の資産管理会社が26.32%となる見込みです。


なぜラクスルは非公開化を選んだのか

ラクスルがMBO・非公開化を選択した背景には、中長期的な成長戦略を遂行するうえで、上場企業であることが制約になっているとの判断があります。上場企業であると、株価変動や四半期ごとの業績発表に対する市場の評価が経営判断に影響を及ぼすことがあります。特にラクスルのように複数の事業領域へ投資を進める企業にとっては、短期的な利益や株価への対応よりも、長期的なビジョンに基づく戦略投資が重要視されます。

非公開化することで、会社は株主からの即時的な評価に縛られず、M&A戦略の推進や既存・新規事業への積極投資が行いやすくなります。また、内部の経営判断の迅速化や、人材・報酬制度の柔軟な設計なども期待できます。こうした理由から、ラクスルは非公開化を選択したと考えられています。


TOB価格1710円の意義

TOB価格が1株1710円に設定されたことは、株主にとって重要なポイントです。この価格は 公表前の市場終値に対して36.8%のプレミアム が乗った水準とされており、株主が通常取引で売却するよりも高い価格で株式を手放せる条件が提示されています。株主にとっては、通常市場価格より高い価格で資産を現金化できる機会となります。

また、この価格設定には複数の目的があります。1つは株主応募を促進するインセンティブの付与であり、もう1つはTOB成立時に広く株式を取得しやすくするためです。さらに、株式の非公開化が成立するためには一定の応募率が必要とされることから、プレミアム価格の設定はTOB成立確度を高める戦略ともいえます。


株価への影響と市場の反応

ラクスルがMBO・TOBを発表した後、その株価は急騰して TOB価格にサヤ寄せする動き を示しました。特に公開買付け価格が市場価格を大きく上回る場合、株式市場ではTOB価格に引き寄せられる形で株価が上昇しやすいという特徴があります。これは、投資家がTOB価格で株式を売却する可能性を織り込んだ動きです。今般の動きでも、投資家がTOB成立の可能性を高く評価し、株価が買い気配となる局面も観測されました。

このような反応は、市場がMBOの成立可能性をある程度高く見ていることを示しており、株価の上昇要因として働いています。


株主にとっての影響

ラクスルのMBOが進行する中で、既存株主には次のような選択と影響があります。

  1. TOBに応募して株式を売却する選択
    特に流動性を確保したい個人・機関投資家にとって、TOB価格での売却は現金化の機会となります。TOB価格が市場価格を上回る水準であるため、応募するメリットがあります。
  2. 非公開化後も保有を継続する選択
    TOBに応募しない場合、上場廃止後は非公開会社の株主として株式を保有し続ける可能性がありますが、市場での流動性は著しく低下します。このため、即時的な資産流動性の確保という観点ではTOB応募が一般的には有利な選択といえます。
  3. 資産運用戦略の見直し
    株主はTOB期間中に市場価格とTOB価格、そして上場廃止後の流動性などを総合的に判断して応募可否を決定する必要があります。非公開会社株式の取扱いは上場株式と大きく異なるため、専門的なアドバイスも必要とされます。

非公開化後の企業価値と戦略

非公開化後のラクスルは、資本市場からの即時的な評価の圧力が軽減されるため、長期的な戦略遂行に注力できる立場となります。特に以下のような点が想定されます。

  • M&A戦略の推進:既存事業と相互補完的な企業の買収・統合を進めやすくなります。
  • 設備投資・人材投資の拡大:短期的な業績目標に縛られず、成長領域への投資を継続できます。
  • 内部経営判断の迅速化:株主対応や投資家説明の負担が軽減し、経営戦略を迅速に実行できます。

非公開化後の経営判断は、株主重視の上場企業とは異なる視点が求められますが、逆に長期的価値創出に焦点を当てられる点が大きなメリットです。


MBOに伴うリスクと留意点

MBOはメリットだけでなくリスクも含みます。主なリスクは次の通りです。

  • 資金調達負担:買収資金の調達には借入やファンド支援が含まれるため、それに伴う負担があります。
  • 経営陣と投資家の協調:外部ファンドとの関係をどのように保つかが経営課題となります。
  • 非公開後の株主対応:上場廃止後は株主の流動性が低下し、株主対応方針も変わります。

投資判断や参加可否を判断する株主には、こうしたリスクについても留意する必要があります。


今後の見通しと注目点

ラクスルMBOは2026年2月4日までのTOB期間中に多くの株主が応募するかどうかが一つの焦点です。TOBが成立すれば上場廃止の手続きが進み、非公開会社としての新しい経営体制が構築されます。M&A戦略や投資計画の具体化、そして市場から離れた後の成長戦略の成果がどう評価されるかは今後の最大の関心事です。


まとめ

ラクスルは2025年12月に経営陣主導のMBOを発表し、株式の非公開化と上場廃止を目指しています。その中心となる公開買付けの価格は1株1710円であり、公表前の市場終値に対して大きなプレミアムを付けた条件となっています。これは株主にとって魅力的な売却機会であり、TOB応募のインセンティブとして機能しています。

非公開化後、ラクスルは中長期的な戦略遂行に注力することが可能となり、M&A戦略や既存・新規事業への投資において柔軟性が高まります。一方で、株主はTOBへの応募可否や非公開会社株式の取り扱いなど、慎重な判断が求められます。

今後の焦点はTOB成立の可否と非公開化後の成長戦略がどのように実現されるかです。投資家や市場関係者にとっても非常に重要な局面となっています。

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この記事を書いた人
MANDA編集部 森田

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