2026年5月29日に公表・判明したM&A案件は全33件。製造派遣大手ワールドホールディングスによるnmsホールディングスのTOB(子会社化)、東レによる香料子会社・曽田香料の韓国企業への譲渡、ディップによる浦和レッドダイヤモンズの株式取得など、業種を横断した多彩な案件が集中した一日となった。エネルギー・IT・介護・食品など幅広いセクターで再編が進んでいる。
▼ 本日の注目案件
- ワールドHD<2429>が持分法適用関連会社のnmsHD<2162>をTOBで子会社化へ。製造派遣・請負領域の統合が加速。
- 東レ<3402>が香料メーカー子会社の曽田香料を韓国Samyang Corporationに譲渡。事業ポートフォリオの見直し。
- ディップが浦和レッドダイヤモンズの株式を取得。人材サービス企業によるスポーツビジネスへの参入。
- SBI<8473>がW TOKYO<9159>株式の買集め行為に該当する株式取得を開示。
TOB・公開買付け(1件)
- 製造派遣・請負事業のワールドホールディングス<2429>、持分法適用関連会社のnmsホールディングス<2162>をTOBで子会社化
経営統合・合併(1件)
- サーモン養殖・販売事業の三菱商事<8058>、子会社間の合併及び特定子会社の異動を実施 資料
子会社化・買収(15件)
- 保育事業と介護福祉事業の運営のQLSホールディングス<7075>、短期入所介護施設を運営する「だんだん」を子会社化
- 石油製品・LPガス商社のシナネンホールディングス<8132>、LPガス販売のEスマートエナジーを子会社化
- 再生可能エネルギー事業の環境フレンドリーホールディングス<3777>、AIデータセンター運営予定のAI Tech Tomakomaiを子会社化
- 住宅設備機器専門商社事業の橋本総業ホールディングス<7570>、建築・設計ソフト開発のハウテックを子会社化
- ネイルサロン展開事業のコンヴァノ<6574>、アクセルマーク<3624>を子会社化
- 賞味期限が近い食品の低価格販売EC事業のクラダシ<5884>、小売電気事業の中京電力を子会社化 資料
- プレスリリース配信代行・インフルエンサーマーケティング事業のソーシャルワイヤー<3929>、広告運用支援のSEIRYOを子会社化
- システム開発・運用事業のエス・エム・エス・データテック<317A>、ITコンサルのチェックフィールドを子会社化
- 医薬品・医療用化粧品の製造・販売のロート製薬<4527>、Thann Oryza Co., Ltd.の株式取得完了 資料
- インフルエンサーPRおよびデジタルマーケティング事業のジーニー<6562>、連結子会社による孫会社の異動を伴う株式取得 資料
- 研究施設・オフィスの賃貸(ラボ事業)及びファンド事業のCAPITA<7462>、バイオ・サイト・キャピタルの100%子会社化完了 資料
- 短期入所生活介護施設の運営のQLS<7075>、連結子会社における株式取得 資料
- 短期入所生活介護施設の運営のQLS<7075>、連結子会社における事業譲受け及び固定資産の取得 資料
- 人材サービス及びDXサービス提供のディップ、浦和レッドダイヤモンズの株式を取得 資料
- SBI<8473>、W TOKYO<9159>株式の買集め行為に該当する株式取得 資料
事業譲渡・売却(5件)
- 化学・素材産業における香料製造販売の東レ<3402>、香料メーカー子会社の曽田香料を韓国Samyang Corporationに譲渡
- 生命保険のライフネット生命保険<7157>、保険代理店事業子会社のライフネットみらいを自己株式取得に応じて譲渡 資料
- ITエンジニア派遣・SES事業のハイブリッドテクノロジーズ<4260>、シンフォニードからITエンジニア派遣・SES事業を取得 資料
- 建設業向けソフトウエア開発事業のエコモット<3987>、ライフビジネスウェザーから気象情報提供サービス事業を取得
- レディースアパレルブランド事業のグランディル、モデルのヨンアがクリエイティブディレクターを務めるアパレルブランド「COEL」事業を譲受 資料
資本業務提携・出資(3件)
- 製造現場改善コンサルティング・人材派遣事業の平山<7781>、株式取得により持分法適用関連会社化 資料
- 飲食店舗の運営の海帆<3133>、ビッグハンズとの業務提携契約締結及びフィジカルAIを活用したスマート厨房化プロジェクト開始 資料
- ITソリューション事業のSHIFT<3697>、ライズ・コンサルティング・グループとの業務提携のさらなる連携強化に合意 資料
その他組織再編(8件)
- LTCC多層基板等の開発・製造・販売のKOA<6999>、連結子会社の解散及び清算 資料
- VTuber事業およびIP事業の経営管理のグリーHD<3632>、事業統括会社(中間持株会社)設立および現物出資による子会社の異動 資料
- 飲食店舗の運営の海帆<3133>、連結子会社による固定資産の取得に関する開示事項の一部変更 資料
- サーバー関連商品の仕入及び販売のスターシーズ<3083>、連結子会社におけるサーバー関連商品の仕入及び販売 資料
- M&Aアドバイザリー・財務コンサルティング業のフーリハン・ローキー、リテール業界(小売/調剤薬局・ドラッグストア/アパレル)M&A動向レポートを公開 資料
全体トレンド
本日の33件を俯瞰すると、子会社化・買収が15件と全体の約半数を占め、企業の外部成長志向が鮮明に表れた。特に、ワールドホールディングスによるnmsホールディングスのTOBは、製造派遣・請負業界における規模拡大の動きを象徴する案件であり、持分法適用関連会社から一歩進めた経営統合として注目される。一方、東レによる曽田香料の韓国Samyangへの譲渡は、素材大手がノンコア事業を海外企業にカーブアウトする流れを映し出している。
業種面では、IT・DX関連の案件が引き続き活発で、エス・エム・エス・データテック、ハイブリッドテクノロジーズ、ソーシャルワイヤー、エコモットなどが事業領域の補完的な買収・譲受を進めている。また、介護・福祉セクターではQLSホールディングスが複数の案件を同日に開示しており、少子高齢化を背景にした業界再編の進行がうかがえる。ディップによる浦和レッドダイヤモンズの株式取得や、クラダシによる中京電力の子会社化など、既存事業と異なる領域への進出も目立ち、事業ポートフォリオの多角化が加速している。
グリーHDの中間持株会社設立やKOAの子会社解散・清算など、グループ内組織再編も複数みられた。全体として、買収・事業取得を通じた成長戦略と、非中核事業の整理・売却の双方が同時進行する、メリハリの利いたM&A動向が確認できた一日であった。


